生産者が直接マーケットに出店してお客さんに販売する、生産者と消費者がダイレクトに繋がる場所だ。
野菜や肉などの生鮮食品から、チーズ、パンといった加工品まで、一通り日常の食品が手に入る。
ここには、スーパーに並ぶ商品には無い何かを求めて、多くのロンドンっ子が訪れている。

驚くべきは、なんと月曜日から日曜日まで、毎日必ずロンドンのどこかで
ファーマーズマーケットが開かれているということ。
今回の滞在の間に幾つかのマーケットを訪れたが、どのマーケットもかなりの盛り上がりをみせていた。
数あるファーマーズマーケットの中でも、複数のマーケットを企画し、多くの来場者を集める
London Farmers' Market という団体に話を聞いた。
1999年に創始者のNina Planck 氏が、自分の赤ちゃんに本当に安心して食べさせることが出来る
食品を探すことから始まったそうだ。
子供に対する自然な愛情と生産者との信頼関係を徹底的に追求した結果が
ファーマーズマーケットという形に行き着いたという。
生産者の人柄や、こだわりまで知った上で選びたい、
エコロジーの視点からローカルフードにこだわりたい、
新鮮な食品を選びたい、身近にオーガニック野菜を買いたい、
そんな声に応えてLFMの活動はどんどん広がっていった。
草の根の活動が支持を受けて「私の近所でも開催して!」という各地の消費者に呼ばれるようになり、
開催地は年々増えて続けてきている。
今では毎週20件のマーケットを開催しているというから驚きだ。

開催するマーケットの数や規模が大きくなっても、安心感や公平性、安全を担保するために
客観的なルールと監視の仕組みを設けているのが優れたところ。
「産直販売は商品の安全基準や流通のチェックが無くて危険!」
という産直販売に否定的な意見を耳にした事があるが、LFMでは
・生産者当事者が販売して、代理販売などは禁止
・自治体の基準と検査に従って生産者として事業者登録されていること
・オーガニックとして販売する場合には認証や証明書を表示する
・100マイル圏内で生産されたローカルフードのみ販売可
などの独自の厳しいルールを設けた上で、ルールを徹底しない生産者に対しては出店を禁止する
などの措置をとり、安全性の確保そして監視に努めている。
このように、マーケットが品質を保証するしくみを通して消費者と生産者が歩み寄れる場になっていて、
厳しい目を持って訪れるお客さんも、生産者の作り手ならではのこだわりとプライドが詰まった熱っぽい説明に(?)
納得して、商品を買うことができる。

開催者のLFMも会場にカウンターを設け、ファーマーズマーケットの理念の説明や
アンケートを使った調査などを通して、訪問者とのコミュニケーションの充実を図っている。

こうした取り組みの結果として、
産直販売ならではの新鮮さ、価格、生産者の顔が見える安心感、という当初の目的と並び、
自分の意志で自分の支持する生産者に納得して支払うことができる、という嬉しさが生まれているのではないかと思える。
そしてここでは、生産者達も買い物客の喜ぶ顔を見ることができ、
自分のプロダクトに誇りを持って、活き活きと仕事しているように見えた。

消費者の大きな支持を得て、広がり続けて行くロンドンのファーマーズマーケット。
同時に、より主体的に選び意識的に選ぶようにと、訪れる人々の消費の志向を変えていっているように思える。
これは、ちょっとしたムーブメントになっているといっても良いんじゃないか、と思えるほど。
街はいつしか土の匂いを忘れ、農業や牧畜とは縁の遠い場所になっているけれども、
思えば土と離れれば離れるほど、ヒトは本能的に不安になるのではないかと思う。
ファーマーズマーケットのような取り組みが、再びヒトと土とを結びつけて行くのかもしれない。






































